ボンヤリーヌの映画茶話

ボン子が新旧の映画の感想を綴るブログです。

ゴールデンカムイ

原作マンガもアニメも見てないのですが、評判のよい映画「ゴールデンカムイ」見てきました。

多くの感想が「原作通りだった」「変な改悪が無い」「キャラが原作のまんま」と原作を読んだ人目線で、私のような原作未読でも楽しめるのかな?とちょっと心配。

でもこの心配は杞憂でした。原作を読んでない私もめちゃくちゃ楽しめたので、原作既読・未読どちらの人にもオススメです。

 

まず、冒頭の日露戦争203高地戦がすごかった。
それほど戦争映画を見ているわけではないけど、あれほど迫力ある邦画の戦闘シーンはなかなかないんじゃないかな。

近年の邦画で描かれる戦争というのは太平洋戦争が中心で飛行機や戦艦に乗った場面が多く、生身の人間による戦闘シーンをあまり見ないので、203高地戦の激しいアクションシーンには度肝を抜かれました。

敵も味方も砲弾に次々に吹っ飛ばされる。
人が人を盾にして敵に進む様子を俯瞰する映像の恐ろしさと虚しさ。

その中で塹壕を八艘飛びして何度も刺されながらも鬼神のように戦い続ける主人公・杉元佐一。アクションシーンで定評のある久保茂昭監督の面目躍如でした。

203高地戦のシーンは北海道での金塊争奪戦の序章に過ぎないのですが、そこでの激戦が杉元の不死身さ、第七師団の動機等を表現するのにとても効いています。

戦争映画が好きな人なら、このシーンだけでも見る価値があると思います。


本編となる北海道編では、杉元と行動を共にするアイヌの少女アシリパ(リは小さい)、途中から仲間に加わる脱獄囚の白石の3人がメインとなります。

そこに土方歳三や、鶴見中尉率いる第七師団が加わり、アイヌ埋蔵金を隠し場所を記した刺青人皮を求める戦いが始まります。

しかも時々羆(ひぐま)も現れて敵も味方も襲われ、油断も隙もありゃしない。

 

そんな殺伐としたシーンの合間に、北海道の美しい雪景色やアイヌのコタン(村)の穏やかな風景も挟まれます。

そして思わず笑ってしまうシーンもたくさんありました。
原作にもあるらしいギャグというかコミカルなカットがそのまんま再現されていて、そのタイミングというかバランスもちょうど良いんですよ。

 

アシリパ役の山田杏奈さんがキリッとしたいい表情をしてます。ギラギラした野郎ばかり出てくる中で、一服の清涼剤のような存在です。強い意志をもった瞳が印象的でした。

山﨑賢人さんはアクションはもちろんのこと、今作のために身体を10kg増量して不死身の杉元のたくましさを体現しています。銭湯で聞き込みをする場面ではその肉体美を拝めるサービスショットもw。

殺気立った登場人物が多い中でお調子者の白石がいい味を出してます。演じる矢本さんが持ってる軽さがちょうどいいんですよね。鉄格子をすり抜けるシーンは笑っちゃいました。

クセ強キャラの中でも一番のクセ強は玉木宏さん扮する鶴見篤四郎中尉でしょう。登場場面から不穏でいきなり上官の和田大尉(堀部圭亮さん)に文字通り噛みついてしまうし、杉元の頬は串刺しするし、逃げる杉元とアシリパを追って走る姿はターミネーター2のT-1000張りの不気味さ。敵役のボスキャラとしては最高ですね。

大体、第七師団のメンバーはみんな不気味。鶴見中尉はそういうメンバーばかり集めたからなんでしょうけど、双子の二階堂兄弟は見るからにイっちゃてるし、無口な月島や尾形も戦闘モードに入った時の殺気がものすごい。それぞれの役者さんたちがキャラになりきってるから出せる雰囲気だと思います。

 

今作は原作漫画のほんの序盤のみ。続編ありきのシリーズもので制作されたのは、エンドロールの合間に挟まれる映像を見てもわかります。(エンドロールが始まっても席を立たないように。エンドロール自体もかっこいい!)
それについてのアナウンスはまだありませんが、続編も是非映画館の大きなスクリーンで見たいなと思います。

ゴールデンカムイ

 

 

PERFECT DAYS

公開初日に観てきました。

好きな映画。

とにかく役所広司さんの表情が素晴らしい。なんて満足気に微笑むんだろう。
上を見上げては微笑む。誰かに見せるための表情ではなく、自分が感じたままの笑顔。


監督はヴィム・ヴェンダース
ドイツ人監督が撮った映画なのに、途中からそういうことを忘れるぐらい日本を描いてる映画だった。

例えば柄本時生くん扮するタカシは、いつも感情や状況を10段階で表現する。
「10の内、9ぐらい好き」とか「10の10ぐらいスゴイ」という感じで。
これって日本の若者の語彙力の低さを表してるなと思ったけど、こういうのは外国でもあるんだろうか?それともたまたま偶然?

後、明るいうちから入る銭湯の気持ち良さ。
銭湯が珍しい外国人監督なら客がたくさんいる時間帯に撮ったんだじゃないかな?
平山は開店直後の空いている銭湯へ行って明るいうちに身体をさっぱりさせる。
あの気持ちよさは日本人にはよくわかる。

平山が通う食堂も路面店じゃなくて地下鉄の駅に通じる地下街にある。わざわざそういう立地の店を選ぶのもめずらしい。これは一周回って外国人監督らしいと言えば言えなくもない。


映画情報を見てみると脚本はヴェンダース監督だけでなく日本人の高崎卓馬さんも参加してる。それなら日本の事情に明るくなるわけだ。

 

この映画が外国人監督の手によると私が感じたのは2カ所。
エンドロールの後のクレジット。あれは日本人監督ならわざわざ入れないだろう。
外国人監督が日本人以外の人へ送る文だ。
でも日本人が読んでも胸に沁みる。エンドロールが始まってもくれぐれも席を立たないように。


もうひとつは平山がニコと分かれる時。
可愛がってる姪とはいえハグしたのはちょっと驚いた。日本人は家族でも異性にハグする人はそんなに多くない。平山が姪にハグするタイプとは思えなかったから。

そして自分の妹にもハグしたのはもっと驚いた。
そういうところは外国人監督だからかな?と、観ている時には思った。
ただ、ネット情報によるとあれは台本になかったハグだとか。
むむむ。

驚きはしたけど、あのハグは平山のやさしさがよくわかるシーンなので嫌いではないです。


この映画はヴィム・ヴェンダース監督によって神格化された日本人を描いていて美化されすぎ、監督の理想にすぎない、という感想を見かけました。

確かに平山は美化されすぎかもしれない。理想的人物で現実味がないかもしれない。

それでもいいんじゃない?と思います、個人的には。
だってポスターにも書いてますからね。
「こんなふうに生きていけたなら」って。
監督の理想を描いて何が悪い。

 

PERFECTDAYS

 


この映画を観てしばらくして思ったのは、荻上直子監督の映画「かもめ食堂」にちょっと似てるということ。映画の内容じゃなくて現実味の無さが。
かもめ食堂」だけじゃなくて、松本佳奈監督・小林聡美主演のドラマ「パンとスープとネコ日和」「ペンションメッツァ」とかもそう。

主人公は淡々とストイックに生活していて、私たちは「いいなぁこんな生活」と憧れる感じ。

でも憧れると同時に、実際にはあんなふうに生きるなんてきっとできないなと思ってしまう。

「PERFECT DAYS」の平山にも近いものを感じました。
憧れるけど自分にはできない生活を眺める。そして少しでもいいからそこに近づければいいなと願う。そんな映画です。

 

 

 

君たちはどう生きるか(1)

宮﨑駿監督のドキュメンタリーの感想を書いたのに、肝心の作品の感想がまだだったので書くことにしました。

2023年7月14日(金)から公開された「君たちはどう生きるか」。
なんと12月下旬になる今現在もまだ公開中です。
私は公開初日に映画館で観ました。

というとすごいジブリファンのように聞こえますが、そんなことはありません。
君たちはどう生きるか」以外の宮﨑作品で映画館で観たのは「崖の上のポニョ」だけ。
他はテレビ放送でしか観てません。というかテレビ放送されても観てない作品もいくつかあったり。

そんな感じなのでジブリについても宮﨑監督についてもそれほど思い入れもなければ知識もありません。
それなのになぜ「君たちはどう生きるか」は公開初日に観に行ったのか?

それは
「何も作品情報がない状態で映画を観たらどんな感じなんだろう?」
という興味からでした。

多くの人がご存知の通り、「君たちはどう生きるか」は事前に作品に関するあらゆる情報がシャットアウトされていました。
あらすじも予告動画もキャストの発表も無し。試写会もないから事前のレビューもなし。
わかっていたのは監督が宮﨑駿ということと、1枚のポスターに描かれた目つきの悪い青サギのイラストのみ。

君たちはどう生きるかポスター

ポスター

 

鈴木敏夫プロデューサーによるこの広報戦略の是非は、公開前も公開後もいろいろ言われてきました。

しかし、私個人に限ればこの作戦は成功しました。
ジブリ作品をほとんど映画館で観たことのない私を動かしたわけですから。

前日までは映画館へ行く気はありませんでした。
公開初日は朝からネットでも「君たちはどう生きるか」が話題になっていました。
それらを読みながらふと思いました。
「こういう状態で映画を見ることってなかなかないよなぁ」と。

今は情報が溢れててそれにアクセスすることも簡単な時代です。
新旧問わず数多くの映画の中から「何を観ようかな?」となった時、何らかの情報を手に入れてそれをヒントにして観る映画を選びます。

あらすじだったり、出演キャストや制作スタッフだったり、観た人の口コミだったり。
またポスターや予告映像で惹かれるものがあればそれを選ぶと思います。

でも「君たちはどう生きるか」はそういうものがほぼ無い。

そんな真っ新な状態で映画を見るという経験ってそうはできるものじゃない。
ということで、その日の夕方に急遽映画館へ駆けつけたのでした。


その結果は……。

正直、内容についてはわからない部分がいっぱいありました。
特に塔の中に入ってからは、何かを比喩しているんだろうけどそれが何なのかさっぱりわからない。

ただ映像的には面白かった。
青サギの動きや火や水の表現もスゴイかった。
冒頭で主人公・眞人が走る場面は今までのジブリとは違った演出で(あれはCG処理してるのかな?)そういうのを最初に持ってきたのも驚かされました。

青サギがすごくリアルに描かれたかと思ったらグロテスクになり、「下の世界」に行ったら変な親父の着ぐるみ状態のサギ男になって、コロコロと姿を変えるのも面白かった。

眞人とサギ男

眞人とサギ男

 

観ながらどことなく既視感があるシーンもいくつかありました。
今までの宮﨑作品を思い出させるようなキャラや構図、セリフなどがあり、「監督の今までの人生を振り返ってる演出なのかな」とも思いました。


見る前はもっと戦争と絡めたストーリーなのかと予想しましたがそうでもなかったです。
前半に疎開の話や父親の軍事工場の話などが出てきたものの、メインは後半の「下の世界」の話で、主人公が異世界での経験を経て成長するという王道ジュブナイルでした。

ただその異世界での経験が奇妙すぎて理解が追いつかないんですけどね。

で、映画を観た後にヒントになりそうなものをネットで探ってアイルランドの作家・ジョン・コナリー「失われたものたちの本」を読んだのですが…。

ぶったまげましたね。
これこそ「君たちはどう生きるか」の原作じゃないですか!

同名タイトルの吉野源三郎の小説は読んでませんが、あらすじを読む限り映画「君たちはどう生きるか」の内容とはぜんぜん違うようです。(ただし、映画の中でこの本は出てきます。)

机に向かう眞人

眞人が本を読むシーン

「失われたものたちの本」と映画「君たちはどう生きるか」についてはまた別の機会に書きたいと思います。

 

映画の内容についてももう少し書きたいのですが、長くなったので別の記事にします。

 

 

プロフェッショナル 仕事の流儀 ジブリと宮﨑駿の2399日

映画を見た感想ではなくテレビ番組の話で恐縮ですが、見た映画に関するドキュメンタリーなので。

 

2023年12月16日(土)7:30〜にNHK総合で放送された「プロフェッショナル 仕事の流儀 」の「ジブリと宮﨑駿の2399日」の回。
事前の予告はほぼなく、前日に急遽発表されたプログラムです。

そのせいか見逃した人も結構いたようです。ただNHKプラスで配信もあるので、見逃した人はNHKプラスへGO!(ただし一週間限定)

私のぼんやりとした記憶では、過去にも「プロフェッショナル 仕事の流儀」やNスペ等で宮﨑駿さんを追いかけたドキュメンタリーはあったはず。その全部を見たわけではないけど3、4回は見てるはず多分。大体はジブリの新作映画の公開に合わせて放送されています。

今までのNHKドキュメンタリーでは宮﨑監督の新作に対する思いをなんとか言葉として引き出そうとするものの、当人はのらりくらりかわしてなかなかがっつりとは語らない。
結局、長時間撮影した映像の中から、ヒントになりそうなわずかな言葉を引き出すのがやっとという感じでした。

ところは今回のドキュメンタリーはちょっと違う。それは冒頭からすぐにわかりました。

監督の仕事場での様子の映像と共に過去のジブリ作品の短いカットが何度も入る。
監督の言葉にジブリ作品の中の同じセリフを被せたりと、やたら演出が凝っている。

多分今までのドキュメンタリーと同じように長時間密着してて撮影方法は今までとそんなに変わらないと思うけど、ドキュメンタリーとしての見せ方がぜんぜん違う。

こういう過剰気味の演出のドキュメンタリーが苦手な人もいるだろうけど、私は「面白そう」と興味を持ち見始めました。


宮﨑監督にとって高畑勲という人は特別だというのはなんとなくは知っていたものの、ぼんやりとライバルのような存在だと思ってました。

ところが今回の放送を見てビックリ!ライバルという一言で表せるような生やさしいものではないことを思い知らされました。
Xの実況でも「BL」だとか「ブロマンス」だとかいう言葉が何度も流れてきました。
もちろん2人はそういう関係ではないのですが、そう言いたくなるのもわかるくらい宮﨑監督の高畑監督への執着が強く、複雑な感情が絡まった愛憎が漏れ出ているドキュメンタリーでした。

宮﨑監督の口から何度「パクさん(高畑勲監督のこと)」という言葉が出たことでしょう!

高畑監督への悪態をつきつつ、隣に座る高畑監督から「次回作を期待してる」と言われれば今まで見たこともないようなデレデレの笑顔を見せる。
高畑監督の葬儀で弔辞を読む際に涙で声を詰まらせ、葬儀後も何も変わらないと言いながら何ヶ月も仕事がまったく手につかなくなってしまう宮﨑監督。

いろんな人との別れを経験してきたはずの宮﨑監督をして、これだけ混乱させてしまう高畑監督という人の大きさを改めて知る思いでした。


この番組を見ようと思ったきっかけの一つは、映画「君たちはどう生きるか」を理解するヒントがないかなということ。
情報前も公開後も宮﨑監督をはじめ制作側から公式なテキストはほとんど発表されず、なかなか映画の理解ができてませんでした。でもこの番組の中でいくつかのことがわかりました。作中のキャラのモデルとされる人です。

サギ男=鈴木敏夫P
大叔父=高畑勲監督
キリコ=保田道世さん(ジブリ色彩設計者)

サギ男  大叔父  キリコ

サギ男 大叔父 キリコ

公開当初からサギ男のモデルは鈴木Pだろうと噂されてしましたが、大叔父のモデルに関しては宮﨑監督自身だという声と、高畑監督だろうと声と両方ありました。
大叔父=宮﨑監督とすると、この映画自体が宮﨑監督からの遺言のような様相を帯びてきます。

私は高畑監督をモデルとするほうがしっくりくるような気がしていました。
大叔父=高畑監督との訣別を描いた(というより訣別するために描いた)のがあのシーンだったんじゃないかな。

ただ、この映画全部がそのために作られたわけではなく、宮﨑監督が描きたかったものは他にもたくさんあるはず。それが何なのか、今の時点では多分半分もわかってないと思います。

眞人

でも、今回のドキュメンタリーでわかったことがあったように、これからも何かの機会に少しずつわかればいいかな。それはジブリの作品かもしれないし、それに関するインタビューや書籍かもしれない。もしくはジブリとはまったく別の作品かもしれない。

映画「君たちはどう生きるか」はそんなふうに少しずつ理解していければ面白い作品と思います。

 

追記:映画の感想も書きました。

bonyarine.hateblo.jp

ゴーストワールド

ゴーストワールド」は現在(2023年11月〜)に全国の映画館でリバイバル上映されているけど、2001年制作のアメリカ映画です。ネットの映画ファンの一部で話題になっていたので、この機会に観てきました。

 

映画タイトルとメイン2人のビジュアルは知っていたけど、内容についての情報はほぼゼロ。今回リバイバル上映で二人の女の子のうちの一人がスカーレット・ヨハンソンだと気がついたくらい。スカヨハが17才の頃の作品(撮影は15歳頃という話も)ですね。

女の子二人のお話と思うようなポスターだけど、実際の主役はイーニド(ソーラ・バーチ)。メガネをかけたボブヘアの子のほう。

 

舞台は1990年代アメリカ、ロサンゼルス郊外のどこかの地方都市。
イーニドとレベッカスカーレット・ヨハンソン)は仲良し2人組。シニカルで周りの人間を馬鹿にした毒舌ばかり吐いてる。
高校卒業後も大学進学もせず定職もつかず、子供っぽい遊びやイタズラをして喜んでいる。まさにモラトリアム真っ最中。

 

新聞の人探し広告(ネットのなかった頃は人探しに新聞が使われていたのですよ!)で恋した女性を探す広告を見つけて、その広告を出した中年男性・シーモアスティーブ・ブシェミ)と出逢います。

 

最初はシーモアをからかうつもりだったイーニドですが、古い音楽マニアのシーモアが気に入ってしまって、だんだん近づいていきます。

10代の女の子が大人の男性に憧れるというのはよくあると言えばあることだけど、シーモアのような冴えないルックスの音楽マニア(字幕では「オタク」となっていた)に好感を持つのはなかなかめずらしいんじゃないでしょうか?

同年代の若くてチャラい男の子はバカにして、シーモアのような男性に興味を持つイーニドは、ユニークというか、ひねくれているというか、変わった女の子です。
なんとなく「私はそこらへんにいるような女じゃないのよ」というような過剰な自意識の現れのような気もします。


やがてレベッカのほうはいやいやながらもコーヒーショップで働き始め、2人で住むためのアパートを探し始めます。

一方のイーニドといえば…。
仕事も探さず相変わらずフラフラ〜自分の興味の赴くままの生活。ちゃんと卒業するための美術の補習もあるし、シーモアにもあれこれおせっかいを初めて、だんだんレベッカとも歩調が合わなりはじめます。


この映画の魅力の一つは間違いなくメイン2人のガールズ・ファッション。
イーニドもレベッカもめちゃくちゃかわいい!!
2人自身がかわいいのもあるけど、服や髪型もすごくかわいらしい。
それを見るだけでもこの映画を見る価値があると思う。

 

衣装のメアリー・ゾフレスはコーエン兄弟の作品や「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」「ラ・ラ・ランド」も担当してます。ちょっとレトロな感じのオシャレのセンスが抜群ってことかな?

個人的に、イーニドの服はほぼ全部好き。セーラーカラーのワンピースとかかわいすぎました。

レベッカはいろんな髪型で登場してヘアアレンジがすごい良い。
素人には難しそうなヘアレンジの時もあれば、子どもみたいに二つに髪を束ねただけ(ツインテールにもなってないような絶妙なダサさ)みたいな時も。

オシャレとダサさの間の行ったり来たりするファッションが、大人と子供の間の揺れ動く2人を表しているような、そんな気もします。


シーモア役のスティーブ・ブシェミは冴えない中年男性だけど、なんかかわい気があってイーニドが惹かれてしまうのもちょっとわかってしまいました(そういう人は少数派だと思うけど)。
オタク丸出しでめんどくさいけど、思いやりもあって良識ある大人の男性。だから小悪魔イーニドに振り回されてしまうのはちょっと気の毒に思ってしまいました。

 

思春期の女の子特有の腰のあたりのむっちり感がたまらないソーラ・バーチは、今はさらに迫力ある大人の女性になってますね。(スカヨハも別な意味で迫力ある)


この映画のラストはいろんな感想があるかと思います。どういう意味なのか意見が分かれるのも納得。
私も映画館で見た時、バッド・エンディングなのかと思って複雑な気持ちになりました。

でも後日ネットでいろいろ探ってみると、必ずしも哀しいエンディングとは言えないらしいようです。監督は明言してないようですけど。

あれは少女時代との決別を表現している、と考えると寂しいけれどそれも仕方がない気がしますね。
もしそうなら、あの後のイーニドの人生も見てみたい気がします。

 

監督はテリー・ツワイゴフ
原作のグラフィックノベル(マンガのようなもの)の作者、ダニエル・クロウズは脚本にも参加しています。
イーニドとレベッカがからかう同級生役にブラッド・レンフロ

 

ゴーストワールド