ボンヤリーヌの映画茶話

ボン子が新旧の映画の感想を綴るブログです。

君たちはどう生きるか(1)

宮﨑駿監督のドキュメンタリーの感想を書いたのに、肝心の作品の感想がまだだったので書くことにしました。

2023年7月14日(金)から公開された「君たちはどう生きるか」。
なんと12月下旬になる今現在もまだ公開中です。
私は公開初日に映画館で観ました。

というとすごいジブリファンのように聞こえますが、そんなことはありません。
君たちはどう生きるか」以外の宮﨑作品で映画館で観たのは「崖の上のポニョ」だけ。
他はテレビ放送でしか観てません。というかテレビ放送されても観てない作品もいくつかあったり。

そんな感じなのでジブリについても宮﨑監督についてもそれほど思い入れもなければ知識もありません。
それなのになぜ「君たちはどう生きるか」は公開初日に観に行ったのか?

それは
「何も作品情報がない状態で映画を観たらどんな感じなんだろう?」
という興味からでした。

多くの人がご存知の通り、「君たちはどう生きるか」は事前に作品に関するあらゆる情報がシャットアウトされていました。
あらすじも予告動画もキャストの発表も無し。試写会もないから事前のレビューもなし。
わかっていたのは監督が宮﨑駿ということと、1枚のポスターに描かれた目つきの悪い青サギのイラストのみ。

君たちはどう生きるかポスター

ポスター

 

鈴木敏夫プロデューサーによるこの広報戦略の是非は、公開前も公開後もいろいろ言われてきました。

しかし、私個人に限ればこの作戦は成功しました。
ジブリ作品をほとんど映画館で観たことのない私を動かしたわけですから。

前日までは映画館へ行く気はありませんでした。
公開初日は朝からネットでも「君たちはどう生きるか」が話題になっていました。
それらを読みながらふと思いました。
「こういう状態で映画を見ることってなかなかないよなぁ」と。

今は情報が溢れててそれにアクセスすることも簡単な時代です。
新旧問わず数多くの映画の中から「何を観ようかな?」となった時、何らかの情報を手に入れてそれをヒントにして観る映画を選びます。

あらすじだったり、出演キャストや制作スタッフだったり、観た人の口コミだったり。
またポスターや予告映像で惹かれるものがあればそれを選ぶと思います。

でも「君たちはどう生きるか」はそういうものがほぼ無い。

そんな真っ新な状態で映画を見るという経験ってそうはできるものじゃない。
ということで、その日の夕方に急遽映画館へ駆けつけたのでした。


その結果は……。

正直、内容についてはわからない部分がいっぱいありました。
特に塔の中に入ってからは、何かを比喩しているんだろうけどそれが何なのかさっぱりわからない。

ただ映像的には面白かった。
青サギの動きや火や水の表現もスゴイかった。
冒頭で主人公・眞人が走る場面は今までのジブリとは違った演出で(あれはCG処理してるのかな?)そういうのを最初に持ってきたのも驚かされました。

青サギがすごくリアルに描かれたかと思ったらグロテスクになり、「下の世界」に行ったら変な親父の着ぐるみ状態のサギ男になって、コロコロと姿を変えるのも面白かった。

眞人とサギ男

眞人とサギ男

 

観ながらどことなく既視感があるシーンもいくつかありました。
今までの宮﨑作品を思い出させるようなキャラや構図、セリフなどがあり、「監督の今までの人生を振り返ってる演出なのかな」とも思いました。


見る前はもっと戦争と絡めたストーリーなのかと予想しましたがそうでもなかったです。
前半に疎開の話や父親の軍事工場の話などが出てきたものの、メインは後半の「下の世界」の話で、主人公が異世界での経験を経て成長するという王道ジュブナイルでした。

ただその異世界での経験が奇妙すぎて理解が追いつかないんですけどね。

で、映画を観た後にヒントになりそうなものをネットで探ってアイルランドの作家・ジョン・コナリー「失われたものたちの本」を読んだのですが…。

ぶったまげましたね。
これこそ「君たちはどう生きるか」の原作じゃないですか!

同名タイトルの吉野源三郎の小説は読んでませんが、あらすじを読む限り映画「君たちはどう生きるか」の内容とはぜんぜん違うようです。(ただし、映画の中でこの本は出てきます。)

机に向かう眞人

眞人が本を読むシーン

「失われたものたちの本」と映画「君たちはどう生きるか」についてはまた別の機会に書きたいと思います。

 

映画の内容についてももう少し書きたいのですが、長くなったので別の記事にします。