ボンヤリーヌの映画茶話

ボン子が新旧の映画の感想を綴るブログです。

ゴーストワールド

ゴーストワールド」は現在(2023年11月〜)に全国の映画館でリバイバル上映されているけど、2001年制作のアメリカ映画です。ネットの映画ファンの一部で話題になっていたので、この機会に観てきました。

 

映画タイトルとメイン2人のビジュアルは知っていたけど、内容についての情報はほぼゼロ。今回リバイバル上映で二人の女の子のうちの一人がスカーレット・ヨハンソンだと気がついたくらい。スカヨハが17才の頃の作品(撮影は15歳頃という話も)ですね。

女の子二人のお話と思うようなポスターだけど、実際の主役はイーニド(ソーラ・バーチ)。メガネをかけたボブヘアの子のほう。

 

舞台は1990年代アメリカ、ロサンゼルス郊外のどこかの地方都市。
イーニドとレベッカスカーレット・ヨハンソン)は仲良し2人組。シニカルで周りの人間を馬鹿にした毒舌ばかり吐いてる。
高校卒業後も大学進学もせず定職もつかず、子供っぽい遊びやイタズラをして喜んでいる。まさにモラトリアム真っ最中。

 

新聞の人探し広告(ネットのなかった頃は人探しに新聞が使われていたのですよ!)で恋した女性を探す広告を見つけて、その広告を出した中年男性・シーモアスティーブ・ブシェミ)と出逢います。

 

最初はシーモアをからかうつもりだったイーニドですが、古い音楽マニアのシーモアが気に入ってしまって、だんだん近づいていきます。

10代の女の子が大人の男性に憧れるというのはよくあると言えばあることだけど、シーモアのような冴えないルックスの音楽マニア(字幕では「オタク」となっていた)に好感を持つのはなかなかめずらしいんじゃないでしょうか?

同年代の若くてチャラい男の子はバカにして、シーモアのような男性に興味を持つイーニドは、ユニークというか、ひねくれているというか、変わった女の子です。
なんとなく「私はそこらへんにいるような女じゃないのよ」というような過剰な自意識の現れのような気もします。


やがてレベッカのほうはいやいやながらもコーヒーショップで働き始め、2人で住むためのアパートを探し始めます。

一方のイーニドといえば…。
仕事も探さず相変わらずフラフラ〜自分の興味の赴くままの生活。ちゃんと卒業するための美術の補習もあるし、シーモアにもあれこれおせっかいを初めて、だんだんレベッカとも歩調が合わなりはじめます。


この映画の魅力の一つは間違いなくメイン2人のガールズ・ファッション。
イーニドもレベッカもめちゃくちゃかわいい!!
2人自身がかわいいのもあるけど、服や髪型もすごくかわいらしい。
それを見るだけでもこの映画を見る価値があると思う。

 

衣装のメアリー・ゾフレスはコーエン兄弟の作品や「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」「ラ・ラ・ランド」も担当してます。ちょっとレトロな感じのオシャレのセンスが抜群ってことかな?

個人的に、イーニドの服はほぼ全部好き。セーラーカラーのワンピースとかかわいすぎました。

レベッカはいろんな髪型で登場してヘアアレンジがすごい良い。
素人には難しそうなヘアレンジの時もあれば、子どもみたいに二つに髪を束ねただけ(ツインテールにもなってないような絶妙なダサさ)みたいな時も。

オシャレとダサさの間の行ったり来たりするファッションが、大人と子供の間の揺れ動く2人を表しているような、そんな気もします。


シーモア役のスティーブ・ブシェミは冴えない中年男性だけど、なんかかわい気があってイーニドが惹かれてしまうのもちょっとわかってしまいました(そういう人は少数派だと思うけど)。
オタク丸出しでめんどくさいけど、思いやりもあって良識ある大人の男性。だから小悪魔イーニドに振り回されてしまうのはちょっと気の毒に思ってしまいました。

 

思春期の女の子特有の腰のあたりのむっちり感がたまらないソーラ・バーチは、今はさらに迫力ある大人の女性になってますね。(スカヨハも別な意味で迫力ある)


この映画のラストはいろんな感想があるかと思います。どういう意味なのか意見が分かれるのも納得。
私も映画館で見た時、バッド・エンディングなのかと思って複雑な気持ちになりました。

でも後日ネットでいろいろ探ってみると、必ずしも哀しいエンディングとは言えないらしいようです。監督は明言してないようですけど。

あれは少女時代との決別を表現している、と考えると寂しいけれどそれも仕方がない気がしますね。
もしそうなら、あの後のイーニドの人生も見てみたい気がします。

 

監督はテリー・ツワイゴフ
原作のグラフィックノベル(マンガのようなもの)の作者、ダニエル・クロウズは脚本にも参加しています。
イーニドとレベッカがからかう同級生役にブラッド・レンフロ

 

ゴーストワールド